奈良と大阪の国境にある天然の関所「亀の瀬」。

ここは、地すべりとの共生の闘いの歴史を刻む場所。

奈良（大和）と大阪（河内）の国境に位置し、奈良盆地の水を一手に集める渓谷地帯「亀の瀬」。ここは、4万年前から地すべりが繰り返されてきた難所であり、古代より都の西の玄関口として交通・経済・治水を支えてきた心臓部です。そして、亀の瀬を越える山間の道「龍田古道」は天皇や官人も往来し、文化の発展にも重要な役割を果たしてきました。とはいえ、ここは地すべりが起きれば甚大な被害をもたらします。そのため、飛鳥時代から人々は龍田の風の神に旅や暮らしの安寧を祈願し、現在に至るまで最新の土木技術を投じてこの要地を守ってきたのです。 今でこそ地すべりの恐怖を肌で感じることはなくなりましたが、土砂に埋もれた鉄道トンネルや河川に対して斜めにかけられた橋梁は、地すべりの脅威を今に伝えます。 龍田の風を感じ、古道を歩いてみてください。地すべりとの闘いの記録を見てください。亀の瀬を越えた人々の想い。地すべりと共にあった歴史、「もう、すべらせない！！」という気概や誇りを感じることでしょう。そして、自然の脅威と向き合い、未来へ歩む日本人ならではの心のありようが見えてくるはずです。